初めてフィリピンに旅行に行ったら到着直後からサバイバルすることになった話
2019年2月末、僕は関西国際空港を飛び立ちました。
まさか、その日のうちにキツい試練をお見舞いされるとは思いもせず……(笑)
遡ること数カ月。大学の友達と3人で、卒業前にフィリピンに行こうという話になりました。
3人とも普通の鉄板観光地にはあまり興味がなく、セブ島に行く選択肢をまず外すくらいは冒険好き。
フィリピンに行くと言っただけで「えっ…なんでフィリピン?」っていう風に言われることは結構ありました。
確かにセブ島とかはリゾート地としては有名だけど、フィリピンに行こうという人自体そもそもそんなに多くないらしい。逆にそれが僕らにとっては面白そうに見えました(笑)
行ったことのない場所に行くのはなんて楽しみなんだろう。
危険レベルは日本より高いので警戒は必要だけど、それ以上に楽しみだった。
愚かにも、自分の警戒心に自信があったのかも。
4時間程度のフライト。LCCの心地よいとは言い難い空の旅を経て、僕は生まれて初めてクラーク国際空港に降り立った。
ん?
「意外とキレイ!!」
第一印象はこれ。綺麗な車も走ってるし、結構ちゃんと整備されてて、少し驚きました。
……そばの川とかは超汚かったけど。
事前にいやってほどフィリピンはこわいぞ!っていう情報を集めてたんで(笑)
思い込んじゃってたんですね。
天気は晴天!天晴日和。
日差しは強いんだけど湿気が少なく不快じゃない暑さで、すぐに半袖に。
日差しフェチなので、南国の日差しはたまりません…
乾季のフィリピンの気候はめちゃくちゃ安定してて、日本よりかなり過ごしやすかったです。
停まってるタクシーはぼったくられるの怖いから空港のタクシー会社を使うことにしました。
アプリでタクシーがよべる『Grab』ってサービスがあるんです。いわゆるちゃんとした会社で、割高だけど安全なのは日本人にありがたい。
いざ!ホテルへ!
まずは、クラークの市街地から少し離れた場所に既に予約しておいたホテルへ荷物を置きに行くことにしました。
走り出すタクシー。
すっごい綺麗な、町並み。
日本と変わらないくらい整備されてる。
なんだ、本当にキレイじゃないか!これならほとんど冒険にならないかもね!ちょっと残念だなあ!
とか言ってたんですね。本気で。
完全なフリでしたね、あれは。
ふと。
急に消えたキレイさ。
え?
みるみる汚くなっていく町並み。
おや?
そう。完璧に整備されていたのは空港の周りだけでした(笑)
あまりにも早い変わり身。
急速な発展の途中なんでしょうね。
個人的には中々面白い瞬間でした。
でもこうでなくては。またこれからが楽しみになりました。
ついに市街地らしいところへ入るタクシー。
市街地から横道に入るタクシー。
…さらに奥に行くタクシー。
……止まらないタクシー。
初めは、フルーツ大好き人間の僕は屋台を見て「あーー南国フルーツだ!!後で行こう!!」
なんてはしゃいでたんですが、中々止まらないんですね、タクシー。
こんな奥?ってくらいまで。
地図で見たらそんなに離れてなかったのに、ちょっと横道に入っただけでもう突然の田舎感…
不安が過ぎりはじめたころ、ようやく止まったタクシー。
何一つわからない、しかも何もない場所に置き去りにされた日本人3人。
とりあえず(まだヤバさに気づいてない3人は)ホテルを探すことに。
えっと…………これ、ホテル……かな?
できれば認めたくありませんでしたが、写真の力ってすごい。
街灯一つないクラークの貧しい田舎に完全に溶け込んでるホテルがありました。
鉄格子のようなデザインの門。
焦りはじめる観光客。
ここに泊まったら夜遊びなんてできるわけがないし、暗くなっただけでヤバいかもしれない。
本当に、そんな雰囲気が視界全体からして、全身が警告を上げ始める。
売店とかはあるけど「鉄格子がかかっている」んです。そうしないと簡単に盗られるから。
いぶかしむその村の人たち。
どうやら、バックパッカーですらほとんど足を踏み入れない場所に来ちゃったらしい……………。
旅行者なんて皆無なんでしょう。
マジな話、さらわれたり殺されても証拠が一つも残らないのはほぼ間違いない。
これはいけねぇ。
ホテルをキャンセル、市街地へ戻ってホテル新たに探すことにすぐさま決め、あるきだす。
僕は致命的な方向音痴なので、一人だったら多分路頭に迷ってましたね
人生でここまでスリリングな体験は初めてでした。
(また同じフィリピン旅行中に更新されるんですが。)
全身に緊張が走って、戦闘態勢になる。
わからないなりに見えるものから必死で情報をかき集める。
ヤツは敵か!?攻撃してくる可能性はあるか!?
(アドレナリンでギラつくってこういう感覚なんだなあって思いました)
子どもたちが溝を飛び越えるだけの遊びを、心から楽しそうにやっている。
対照的に大人たちは疲れてるような印象で、こっちを警戒してる人もいるみたいでした。
何個目かの角を曲がると、
犬だ。
こわ!
群れてます。その中でも平然と遊ぶ地元の子どもたち。
ビビる日本人。こっちを見る……明らかに腹をすかせた獰猛な野犬(にしか見えなかった)。
えっと?こういうときどうするんだっけ?犬は目が目で、目を見て逃げたら追っかけて目を、あれ?
いや無理!怖い!!!
襲ってきそうだ!と思ってダッシュする僕。
吠えながら追っかけてくる野犬!!ああああ!!!
ぜひ、想像してみてください。
フィリピンの田舎。助けは来ない。うろつく飢えた野犬に追いかけ回される恐怖。
はい。メチャメチャ怖かった……
次に現地の子どもたちの視点で想像してみてください。
なんか見たことない外国人が、その辺の犬に追っかけられて全力ダッシュしてる。滑稽も滑稽。
大爆笑してました。恥ずかし。
3人で全力ダッシュし、無様(とか言ってらんない!!)にも犬から逃げ切って、緊張はもう今までの比ですらなくなってます。
殺すか殺されるか?ここまで言うと大げさだけど、初めて体験する異常な環境に頭が追いつかない。
主観的にはそれに近かったです。
野生では逃げたら追ってきますよね。冷静に考えたらそうなんだけど、いや、こわいよ!(笑)
狂犬病とかも調べてたから頭にちらついて、気づいたら走り出していた…
自分は、もう少し理性的だと思ってたけど、追い詰められると人間こんなもんだなぁ
もうフルーツどころじゃなくなった僕らは、何とか市街地に出るため警戒MAXで進んでいる……つもりでした。
日本はやっぱり平和なんですよ。本当に。実感として理解しました。
かなり怖い目に合ってるのに、それでも頭は平和モードだったんです。
少し大きな通りに出て、車通りも増えてきた頃。
大きなバンが3人の近くで速度を落としたのです。
一瞬ちらっと「誘拐かも!危険だよ!」って過ぎったのですが、日本式の思考が抑えつけます。
「まあ、日本ではそんなことないからね!」
あとで反省し、恐怖しました。
結局、その車は減速しただけで何ともなかったのですが、誘拐しようと思えば余裕でできてたでしょう。
日本人の警戒心は、本当に弱い。
それが理解できただけでも良かった。「平和ボケ」ってこういうことなんだなあ……
一歩間違えたら危険になる環境(と少なくとも主観的にはそう思ってた)は、本当に刺激的でした。
ゲームとかで疑似体験するくらいなら途上国行ったほうが面白いかも。
ギリギリの環境で自分の判断力だけが頼りになるのは、怖いけど好きなんですよね。
精神が研ぎ澄まされて余計なことは考えられない状態というか。
エクストリームスポーツとかにはまる人はこういう感覚なんでしょうね。